オリジナル曲の「責任」

作曲、ギターと楽譜

まだ弾き語りを「再開」しだして間もない頃の話です。

※やましんは弾き語りでの音楽活動には20年以上のブランクがあり、その間はバンドでギタリストとして活動していたり、音楽活動から遠ざかったりしていた時期があります。

 

間もない頃なので、演奏も、そして作ったオリジナル曲のクオリティもまだまだ低い状態でした。

その頃はよく、いわゆる「オープンマイク」に参加しながら、経験を積んでいた時期です。

 

そんなある日、バンド仲間の先輩がたまたま見に来ていました。

その先輩、弾き語り、特にオリジナル曲というものが大嫌いということで知られている人だったんです。

なのに、弾き語りオープンマイクの日にフラっと現れたものだからびっくりしてたんですが、多分、その日参加予定の別の人と仲がいいので、様子を見に来たのでしょう。

 

で、案の定、やましんの演奏を含め、他の人の演奏についても、ボロカスの批評をしていたのです。

もちろん自分でもクオリティが低いのはわかっていたんですが、その言い方がかなり酷かったので、結局その人とは喧嘩別れみたいな感じになってしまいました。

 

 

ただ、その先輩の言うことも、半分ぐらいは理解できるし、同じ意見だったりもしたんです。

(だからこそ悔しかったわけでもありますが…)

 

その先輩は、いわゆるコピーバンドを長年やってきた人で、ロックをこよなく愛し、リスペクトし続けていた人です。

歴代の偉大なるミュージシャン達を尊敬し、その人達が残してきた名曲・名演に一歩でも近づこうと追求し、自分の演奏力に磨きをかけてきたわけです。

 

しかし、そこはさすがに音楽史上に残る名曲、名プレーヤー。

そう簡単に近づけるようなレベルではありません。

 

その凄さをよくわかっているからこそ、そしてそんな思いが強いが故に、気安くステージに上がり、未熟な演奏と未熟なオリジナル曲を披露してはちやほやされる、というのはとても許せなかったのでしょう。

 

 

歴史に残る名曲、名演というのは、やはりその完成度が凄いです。

シンプルな構造の曲であったとしても、やはり特別な輝きを放ち、なんとも言えないパワーを持っています。

あまりいい言い方ではないかもしれませんが、比べてみるとわかるし、実際に演奏してみると、より一層その曲の力の強さに驚かされることばかりです。

 

 

しかし、曲というもの自体は、実はとても簡単に作ることができてしまいます。

簡単なコードを並べて、適当にメロディと歌詞を乗せておけば、とりあえず「曲っぽいもの」は手軽にできてしまいます。

それ自体を否定するつもりは全くないんですが、それはあくまでも初歩段階。

そこから完成度の高い、立派な曲を作れるようになるには、とてもとても長い時間と労力がかかるものです。

 

 

ところが、おそらくその先輩が思っていたことは・・・

その初歩段階のレベルにいる人の曲や演奏を延々聞かされるのは、とてもつらい。

 

しかも特に、弾き語りだと、それが簡単にできてしまうせいか、そういう人がとても多い、と。

 

バンドでオリジナルを、となると、少しだけハードルが上がる面もあります。

まずメンバーが、その曲を客観的に聞いて評価します。

たとえば5人のメンバーがいたら、残りの四人がその曲を演奏することに許可を出さなければいけません。

つまりその時点である程度ふるいにかけられるのです。

(メンバーの関係性や実力にもよりますが。)

その上で、アレンジをしていくという、けっこう面倒な工程があります。

 

ところが、弾き語りの場合、自分がOKならそれでOK。

演奏(伴奏)も、とりあえずコード弾いておけば、とりあえずはなんとかなる。

その状態で、いきなりライブ・・・なんていう人も、けっこういるように思うんです。

 

ただ正直なところ、お金を払って、本気でいい音楽に出会いたくて見にきたライブで、そんな演奏ばかりする人が出てきたら、やっぱり「ちょっと待ってくれよ!」と文句も言いたくなる気持ちもわかります。

いろんな出演者が出るブッキングライブの場合、「嫌なら聞かなきゃいい」では済まされないですしね。

目当ての人が出るまでそこで待ってなきゃいけないですから。

 

本音を言えば、もうちょっと、オリジナルをやる前に、いろんな曲をコピーして、お手本から学ぶプロセスが足りないんじゃないかな、と思うような人もいます。

 

 

 

これは、スタンダードナンバーを演奏する別の先輩から言われたことです。

「世の中には無数の名曲が既にある中で、知っている曲はほんの一握り。まだ知らない名曲を探すのではなく、新しい曲を生み出すことを選択するっていうんなら、歴代のスタンダードを上回るような曲を作らないといけないってことだ。」

 

まぁこれもちょっと大げさだと思うんですが(笑)

ただ、ミュージシャンにとって、曲を作って世に出すということは、かなり大きな責任が伴うんだ、ということは常に肝に命じておきたいと思っています。

 

 

※最後に、繰り返し補足しておきますが・・・

その初歩段階の曲作りとして、シンプルなコードでシンプルな曲を作る、これはオリジナルを作る人なら、偉大な作曲家達も含め、誰でも最初に通る道です。

だからそれを否定する気はないし、むしろ推奨します。

そして初心者レベルでも出られるライブやオープンマイクなどもおすすめしているし、そんな中にも、キラリと光るものを持っている人や、不器用ながらも人の心を動かす人もいます。

 

だからそういう人たちにも、演奏の場を持ってもらいたいと思っていますし、必要に応じて紹介しています。

そこは、上記の先輩たちとはちょっと意見が違うところかもしれません。

 

ただ、そのキラリと光るものをより磨いていくためにも、そして音楽シーンの質を高めていくためにも、今回書いたようなことは自分も含めて、常に心の中に置いておきたいなと思う、大切なマインドだと思っています。